リハビリに携わり、これまで多くの高齢な方々のリハビリのお手伝いさせて頂きました。
老人保健施設のリハビリとはどのようなものなのか?何が正解なのか?どこに視点を置くべきか?
本人様の希望、意思は?リハビリの先に何があるのか?等々、日々の仕事の中で考えさせられる事が多々あります。
理学療法士の定義をここで提示しておきます。
「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」
理学療法士法及び作業療法士法
体操を通して、歩行や立ち上がりと言った動作ができるようにするといったイメージでしょうか?
中国では理学療法士を「訓練指導士」と表現します。
運動を指導して、自ら身体を動かして基本的動作能力の改善を図る趣旨をよく理解した表現ですね。
動けるように関節の可動性や範囲を拡大させ、筋肉が動き易いように治療し、重力に抗することができる筋力をつけ、バランス能力を上げる必要があります。
筋肉は自ら動かすことで筋力が増えます。では痛みで動かせない人はどうすればいいでしょう?
痛みで体を動かせない人は筋肉が動くように徒手的なアプローチが必要です。
動かない筋肉はそのままにしておけば阻血状態となり、壊死してしまうからです。
老人保健施設には柔道整復師や整体師、マッサージ師がいません。
つまりその役割は理学療法士が担うしかありません。
実はセラピストによって主眼を置いている部分が違います。そして、利用者様によってゴール設定も違います。
また、国は活動と参加に目を向けるよう通知しています。つまり、趣味や興味のある事をリハビリに取り入れ、身体機能をあげていきましょう」というニュアンスですかね。
身体面のみで話をするならば、個人的な意見となりますが、「関節の可動性を上げる」→「痛みを軽減させる」→「筋力を上げる」→「バランス能力を上げる」→「動作を練習する」→「趣味や活動・参加・日常動作にに繋げる」→日常生活動作が自立する、これが理想です。
それに活動や参加を視野に入れたリハビリがとても難しいと感じています。
立ち上がりや歩行を単純に繰り返せばおそらく、その方の動作は少しづつ改善方向に向かうでしょう。
しかし、それでは私達専門職がリハビリを行う理由がありません。
厚生労働省の言う活動と参加に主眼を置いたリハビリであれば、編み物は手芸教室、料理なら料理教室といった様にその道のプロと一緒にやるのがベストでしょう。
では私達セラピストがリハビリを行う意味は?
専門職の知識や技術をフルに発揮できなければリハビリ職がリハビリを行う意味がなくなってしまうのではないのでしょうか?
どのような視点でリハビリを行えばよいか視点が多くあり、混乱します。
結論、
私は「自分が高齢になり施設に入った時に自分という職員にリハビリをやってもらいたいか?」という視点で日々の仕事を行っています。
いずれ、自分も高齢になり、介護、リハビリを受ける立場になるでしょう。そんな時に今の自分のリハビリを未来の自分が受け入れてくれるか?満足してもらえるのか?という視点をもって仕事をしていきたいと思っています。
因果応報という言葉にもある様に原因があり、結果がある。人にやったことは回り回って自分に帰ってくる。
もちろんリハビリ職だけではありません。
それを胸に刻み、仕事に取り組んで行きたい、そう思います。
賛否両論あるのは分かっています。
このブログで自分の意思を表現するとともに、この施設がより良い場所になればいいと心から思っています。
ウエルネスきっこ 理学療法士 吉橋
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